お久しぶりに(映画評)「地獄でなぜ悪い( @play_in_hell )」は悪いか?!あるいは厨二病との付き合い方

お久しぶりです。

 

 どうも学会から帰ってバタバタとしておりまして、この間、岡田斗司夫さんが自身のビブリオトークイベントで紹介された本を買ってみて読むというかながめたら、非常に面白かった話とか、学会のお話とか、書きたいこといろいろはあるんですが、とりあえず次回以降ぼちぼち書くとして、本日は映画評を。しかもよりによって、映画『地獄でなぜ悪い』。園子音監督作品です。

 

 

 

 いやー痛快でございました。もちろんこんな痛快な作品は、子どもに見せちゃだめだ。子どもには、こういう作品はタブー化して、大人になるまでにその想像力を増幅させてもらって、良くも悪くも飼いならしてから、つまりいい大人になってから見せればよろしい。

 

 

 それと、では大人だったらこの映画楽しめるかというと、それも違うような気がしております。はっきり言って、ブルース・リーはじめとする70年代後半アクション映画のテイスト、70年代アングラ的なテイスト、サブカル的なテイスト、深作作品はじめとするバイオレンス実録映画テイスト、映画研テイスト、愛と誠系の梶原一騎テイスト、などなど、どれにも当てはまらない人は見ない方がいいです。でもどれか一つあてはまる人には、所謂「ふまえなくてもいい知識がすべてふまえられている」、「素晴らしい」作品となるでしょう。いや「素晴らしい」という言葉じゃ駄目だな、「酷い」もしくは「キモイ」(もちろんほめ言葉として)作品というべきでしょうか(B級映画テイストの監督としてはロドリゲス監督&タランティーノがすでにいましたがこの映画では映研的なノリが付け加えてあるんですよね。うーんルーツは大林監督の転校性かw?絶対違うな)。

 

 

 もうネタがばれるとか何とか、ほとんど関係ないですが、友近の熱演する「眼の逝った」女性とか、國村隼さんがもう当たり役だなとか、ピースサインがいいなとか、ああ、あれはきっと『マルサの女2』で菅原チネ子さん扮する地上げ被害者が嘔吐するシーンへのオマージュだなとか、渡辺哲さんのコミカルな刑事が、きめるところは冷徹でああ、やっぱりこの人、権力についてはこうなんだとか、警察が「深作警察署」じゃないか!とか、でんでんは最高だなとか、なんでこのシーンで成海凜子とか、二階堂ふみの魅力を最大限引き出した作品といってもいいけど本人どう思ってんだろとか、ここで江波杏子とか水道橋博士とか岩井志麻子出すか…とかとかとか。

 

 

 でも、国民の一部の、かつ、映研とか映画マニアとか、中学、高校のとき8ミリまわしてたとか、そんな人にとっては、つまり70年代中ごろから後半にかけて思春期を過ごしたものに関しては、しかもどっちかというと、スポーツとかで発散せず、その情熱を映画見たり写真や動画にのめりこんだり、揚句、なんか背伸びしてわけもわからず寺山作品見せられたりした世代には、かなーり何か訴えかけてくる連帯感といいましょうか、同窓会的な盛り上がりといいましょうか、特別な何かが用意されています。

 

 

 作家の岡田斗司夫さんが、映画を語るときに、映画という表現の特徴として、「監督自身の映画論が作品言(意識的にも無意識的にも)盛り込まれてそれが作品の魅力になる」というようなお話をされていたと思いますが、この作品はそういう意味でまさに厨二病(いやむしろ高二病ぐらいか?!)といいますか、深作教の信仰告白といいますか、良くも悪くもそのメッセージはしっかりと伝わってきます。

 

 

 まあとにかく、見た方がいいとは言いません。むしろ見ない方がいいです。いいんですが、とにかく気持ち悪いものであることには違いないので、もし万が一、見たくなったら、それあけはお覚悟を。

 

ピース(シャキーーーン!!)